ペット保険No.1「アニコムホールディングス」の強みに迫る!

アニコムホールディングスロゴ 注目日本企業

国民皆保険制度のおかげで、我々は病気になって入院しても、医療費を全額負担しなくてもいい。ありがたい制度ですね。

だが、その対象は人間だ。そう、ペットには適用されない。

家族同然のように思っているペットが病気になってしまったら、医療を受けさせてあげたいと思うでしょう。だが、公的医療制度が適用されないペットの医療は全額自己負担が原則。

愛するペットに安心して医療を受けさせてあげたい。。。!そのような悩みを解決するために登場したのが「ペット保険」。

今となっては各損保会社が取り扱いをしている保険商品だが、実はその歴史はまだ浅く、初めて登場したのは1995年(出典:ペトハピ「日本で初めてペット保険をつくった男」)。

今回ご紹介する『アニコムホールディングス』は、そんな歴史の浅いペット保険でNo.1のシェアを誇る企業だ。

大手損保を押しのけて頂点に君臨する、そのビジネスの強みに迫る。

事業:国内No.1のペット保険とシナジーを意識した新規事業

アニコムホールディングスは複数の事業を運営しているが、どれも「どうぶつのライフステージ」に関わる事業であることが特徴だ。

中でも現在の主力事業はペット保険。

国内No.1ペット保険

アニコムホールディングスが提供するペット保険は、犬・猫・鳥・うさぎ・フェレットを対象としており、愛するペットが万が一ケガ・病気で治療が必要となった場合でも補償を受けることができるようになっている。

アニコム損保HP

公的医療制度が適用されないペットの治療は、通常全額負担となってしまう。だが、ペット保険に入っておくことで、万が一の場合でも安心して治療を受けさせられるというメリットがある。

ペット保険に契約していない場合 ペット保険に契約している場合
画像引用:アニコム損保HP

アニコムは全国2,000を超えるペットショップと提携しており、ペットショップで新生児を購入した顧客に対して、ペット保険への加入を促進している。実に年間の新規契約の8割はこのチャネルから獲得されているのだ。

また、ペットショップ以外にも自社HPやその他Web代理店、金融機関等からの加入も可能としており、ペットショップで加入していなかったとしても、後から申し込むことができるようになっている。

各ライフステージに合わせた新規事業

アニコムはその他どうぶつの各ライフステージにおいて必要となるサービスの展開にも取り組んでいる。

ペット保険はすでに世に生を受けているペットを対象としたサービスだが、生まれる前の「遺伝子検査」に関する事業、飼育を開始してからの健活に関わる「腸内フローラ測定」事業など、ペットのライフステージの川上から川下までカバーするべく、新規事業を展開している。

しかも、これらは主力事業であるペット保険とのシナジー効果もあることが特徴だ。

画像引用:アニコム2021年3月決算説明資料

例えば遺伝子検査事業により、病気の原因遺伝子の研究が進み、遺伝病自体が減少すれば損害率が低下するなどの効果が考えられる。

このように新規事業においても、ペット保険と深い関係のある事業を展開しているのがアニコムの特徴だ。

強み:圧倒的な利便性、そして徹底的にどうぶつに向き合った事業展開

アニコムはペット保険を中心に、徹底的にどうぶつと向き合った事業展開をすることで、他社が簡単には追いつけないような強みを構築している。

窓口精算による圧倒的な利便性

アニコムのペット保険の特徴として挙げられるのが、「窓口精算」だ。

通常、保険の補償を受ける際は、一旦費用を自身で負担してから、後ほど精算がされる流れとなる。つまり、一時的に費用の持ち出しが発生する。

だが、アニコムは全国6,500病院(全国の5割以上)と提携をしており、提携病院の窓口で精算ができる仕組みを取っている。

保険を利用したい場合、窓口で保険証を見せれば、自己負担分だけを支払えばよく、面倒な保険金請求手続きから解放される。

画像引用:アニコムホールディングスHP

病院側からしても、アニコムと提携することで、アニコムの保険を使いたい方の来院が増えるというメリットがあり、病院・顧客の双方にとって嬉しい仕組みと言えるだろう。

全国2,000以上のペットショップで加入が可能

アニコムのペット保険は全国2,000以上のペットショップで加入可能だが、この点も大きな強みと言える。

保険はクロスセルと非常に相性がいい商材だ。

例えば自転車保険への加入は、自転車を購入するときに一番意識するだろう。それであれば自転車を販売するついでに加入してもらうのが一番だ。

ペット保険も一緒だ。ペット保険に加入してもらうには、ペットを販売するときが一番だ。

その点、全国のペットショップと提携をし、「ペットの販売タイミング」にペット保険を紹介してもらえる体制を整えているアニコムは大きな優位性を築いていると言える。

どうぶつのライフステージをカバーする事業展開

また、「どうぶつ」の各ライフステージに関わっていこうという、アニコムの覚悟ある事業展開が、最終的にはなによりの強みになっていくと思う。

遺伝病を減らそうとする取組、飼育中の健康活動を促進する取組など、アニコムはペットの健康を第一に考える事業を次々と展開している。

これらは全て相互にシナジー効果を発揮していくと考えられ、競合他社にはないサービスの提供につながっていくと考えている。

業績:経常収益6倍!順調にトップラインは積み上がる

アニコムは2008年から13年間で経常収益を6倍以上にまで伸ばしており、順調な業績推移を見せている。

業績推移

保険契約の数も順調に増加傾向。ペット保険は対象のペットが元気でいる限りは保険料が発生する仕組みなので、保険契約数は重要なKPIとなる。

保有契約数も順調に積み上がる

ペットが入院等したら、その費用をアニコムが補償することになるが、保険料に対して実際にどの程度の補償が発生しているかを表すEI損害率は、一時60%超えいていたのが50%台後半で安定するようになっている。

EI損害率の推移

なお、新規事業についてはまだ全体の業績に対してその規模は小さい。

新規事業の成長はこれからか

市場:全国1,800万の犬猫飼育数、そして高まるペット保険加入率

現在の日本ではもはや子供の数よりもペットの数の方が多い。その数、犬猫で全国1,800万匹を超えている(出典:一般社団法人ペットフード協会「2020年全国犬猫飼育実態調査」)。

そのうちペット保険に加入しているのは29.6%であり(出典:株式会社矢野経済研究所「ペット飼育者の消費行動に関するアンケート調査」)、70%のペットについて保険未加入の状態だ。

全国30%のペットが保険に加入しているとなると、一匹あたりの月額保険料を3,000円程度と仮定し、その市場規模は1,944億円程度となる。

そして今後ペット保険の市場が拡大するか否かは、

  • ペットの飼育数の増減
  • ペット保険加入率の増減

に左右される。その点、ペットの飼育数については近年犬がやや減少しており、猫については横ばいで推移している。

一方で保険の加入率については2016年に6.3%しかなかったとされているのが(出典:「アニコムグループ中期経営計画2019」)、2020年の調査では29.6%に達しているとされ、顕著な上昇を見せている。データの出典が異なるので、一概に比較できないとは言え、加入率が増加傾向にあることは間違いないと考えていいだろう。

ちなみに「人間」の生命保険の加入率は80%ほどであり(出典:生命保険文化センター)、仮にペット保険の加入率が同水準まで上昇すれば市場規模は5,184億円ほどと想定される。

株価:株価は10倍!長期的な右肩上がりを見せる

アニコムの気になる株価だが、2011年に一時期130円を切っていたのが、2020年に1,300円を超えており、テンバガーを達成している。

株価推移

2010年3月から2021年5月までのパフォーマンスも日経・TOPIXを上回る。

ヤフーファイナンス

今後:ペット保険の市場拡大が続く間に、その他事業の育成を

アニコムの今後についてだが、ペット保険の加入率が今後も成長を続けていけば、それに合わせて業界No.1シェアのアニコムの業績も拡大していくと考えられる。

現在の加入率は29.6%と、決して低い加入率ではないが、拡大余地自体がまだあるのは間違いない。

ただ、いずれにせよペット保険自体の市場規模は80%の加入率で5,184億円、50%の加入率で3,240億円程度。競争が激化している市場ではあるが、40%のシェアを確保できれば1,296〜2,073億円の経常収益を得られることになる。

だが、加入率がさらに低い段階で伸びが止まることも考えられ、その点ではペット保険が成長しているうちに新規事業を育てていくことが重要だ。

今後の新規事業の成長に注目していきたい。

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