企業の最新製品やサービス情報をオンラインで探しているとき、『PR TIMES』というサイトに辿り着いたことがあるのではないか。それもそのはず、PR TIMESは月間1万本を超えるプレスリリースが集まる国内シェアNo.1のPRプラットフォームなのだ。
事業:オンラインでのプレスリリース配信で急成長
企業が自社の新情報を世間に知ってもらう際には、メディアで取り上げてもらうために新聞・雑誌・テレビ等の報道機関に対してプレスリリースを一般的に行う。しかし、これらマスメディアはあらゆる企業から膨大なプレスリリースを毎日のように受け取っており、その一方で誌面のスペースや放送時間の尺といった制限があるため、実際に取り上げられる新情報はごく一部の大企業や有名企業のものになりがちだ。
だが、インターネットには誌面のスペースや時間の尺といった制約には縛られない。そこにPR TIMESは目をつけたのだ。
スペース・尺の制約から解放されるということは、これまではメディアと無縁だった小さい企業の新情報も取り上げることができることを意味する。PR TIMESは制約のないインターネットという環境を利用して、大小関わらず企業の新情報を受け付けることで膨大な量のプレスリリースを受付、それらを全て掲載していくことで、インターネットにおけるプレスリリース配信プラットフォームとして急成長することができたのである。
強み:提携サイトへの転載により情報拡散
このようにPR TIMESは企業のプレスリリースを掲載するプラットフォームなのだが、プレスリリース「のみ」が掲載されているサイトをわざわざ見に来る人はビジネスウーマン・ビジネスマンくらいしかいないのではないか?とお思いかもしれない。
新聞・雑誌・テレビであればビジネスに関わっていない主婦層・学生層等、もっと多様な層にアプローチすることができ、そのように考えるとPR TIMESのメディアとしての魅力は従来のメディアと比べると見劣りするかもしれない。
だが、PR TIMESに掲載される情報は、LINE NEWSやYOMIURI ONLINEといった様々な提携ニュースメディアに転載されていくのだ。PR TIMES自体も月間最大2,700万PV超(2020年2月現在)あるメディアだが、提携のサイトには月間1億PV以上の大手メディアも含まれており、これらウェブメディアへの転載により情報はより多様な層へと拡散されていくことになるのだ。
業績推移:25%を上回る売上高成長率を継続
気になる業績の推移だが、ご覧のように売上高・営業利益共に順調に右肩上がりだ。2020年までの間に売上高成長率が25%を下回る年がないというのも驚異的。
一方で営業利益率については上下動が激しいように見えるが、2014-2020年の間を抽出すると継続的に改善がなされているトレンドが見えてくる。
この営業利益率の改善トレンドはどうやら売上原価のコントロールによってなされているようで、2014年に68.4%だった売上総利益率が2020年にはなんと85.63%まで上昇している。
市場規模:3%の市場シェアでまだまだ伸びる余地大きい
日本パブリックリレーションズ協会が2019年に公表したPR業の市場規模は1,290億円とされており(出典:2019年PR実態業実態調査報告書)、PR TIMESのシェアはまだ3%程度と考えられる。
オンラインにおけるPR市場自体歴史が浅いことを考えると、オンラインPR市場自体が成長していくと思われ、その中でオンラインPRプラットフォームとして圧倒的な地位を確立しているPR TIMESの成長には大きな期待ができるだろう。
株価推移:テンバガー達成!!
それでは業績絶好調のPR TIMESの株価はどうなっているか?2016年に一時300円を下回った株価は2021年1月には4,380円となっており、テンバガーを達成。
言うまでもなく日経・TOPIXを遥かにオーバーパフォーム。
PERは恒常的に割高な状態だが、2016年純利益が1.5億だったのに対して2020年には10.4億と7倍近くになっているので、結果だけを見ればむしろ割安だったとすら言える。
2021年4月現在においても40倍を超える割高圏だが売上高成長率を維持できれば十分に正当化できるPER水準だろう。
今後の業績:本業の成長にまだまだ期待
さて最後にPR TIMESの今後の業績について個人的な予想をまとめて終わりにしたいと思う。結論から言うとまだしばらくは好調な業績が続くのではないか予想。理由としては以下の点を挙げたい。
- 市場規模に対するシェアがまだたったの3%。そしてオンラインの市場はまだ未成熟であると考えると、オンライン市場の拡大分だけでも成長が継続すると考えられる。
- オンラインのPRプラットフォームとして圧倒的な知名度・ブランド力。
- 2020年度終了時点での取引社数は50,000社以上、かつ上場企業利用割合44.7%。クロスセル・アップセルの機会は十分にあるはず。
新サービスもいくつかリリースしており、ユーザー数については順調に獲得できているようなのも好材料。ただし、収益化には苦戦しているようだ。
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