コロナ禍をきっかけにテレワーク・在宅勤務が急速に注目された。
しかし、社内手続きにハンコや紙を使っているという理由のために、テレワーク・在宅勤務に移行できない企業も多いのではないか。
こういった企業の社内手続きの電子化を、「ワークフローシステム」の提供により支援しているのが『エイトレッド』だ。
コロナウィルスの広がりを背景とした働き方の変化といった追い風もある、高収益の成長企業『エイトレッド』のビジネスの強みに今回は迫りたい。
事業:クラウドとパッケージの両方でワークフローシステムを提供
エイトレッドは社内手続きを電子化する「ワークフローシステム」を提供している。
例えば、以下のような社内手続きを全てオンラインのシステム上で行うことを可能とする。
- 勤怠申請
- 稟議手続き
- 休暇申請
- 見積書作成・承認
- 交通費精算
- 出張旅費申請・精算
- 営業先のマスタ登録 など
コロナ禍で進んだテレワーク・在宅勤務の影響で注目度が高まったワークフローシステムだが、その導入メリットは以下のように多岐に渡る。
- オンライン環境があれば承認作業を行えるため、承認期間が短縮される
- 書類の保管・管理が不要になる
- ペーパーレスによるコスト削減
- 手続きの状況について、関係者全員がリアルタイムで確認が可能となる
- システム上で管理されるため、手続きの抜け漏れが防げる
- 手続きに関する履歴が全て記録される など
エイトレッドはこのワークフローシステムを導入企業の規模やニーズに応じて、「X-point」「X-point Cloud」「Agile Works」という3つのサービスを使い分けて提供する。
X-point・X-point Cloud
「X-point」と「X-point Cloud」は中小規模の企業を対象としたワークフローシステム。「X-point」がパッケージ版であるのに対して、「X-point Cloud」はクラウド版であることがその違いだ。
「X-point Cloud」の料金体系は単純明快で、利用ユーザー数に応じた月額課金制で、初期費用は一切ない。
Agile Works
「Agile Works」も「X-point」シリーズと同じくワークフローシステムだが、より大企業に特化したサービスとなっている。
X-pointよりさらに機能を充実させており、また大企業が持つレガシーシステムにつなげることを想定している。
強み:日本型業務プロセスに適した製品で、中小〜大企業まで幅広く導入
ワークフローシステムを提供する企業は多くあり、決して競合が少ない分野ではない。だが、エイトレッドは以下のような強みにより競合の多い業界で成長を続けている。
- 日本型業務プロセスに適した製品にすることで、競合との差別化を図る
- 中小〜大企業をそれぞれクラウド・パッケージ版で対応することで、幅広い企業への導入に成功
- 高収益で安定的なストック型ビジネスモデル
日本型業務プロセスに適した製品
これまで紙・ハンコを使ってきた手続きをいきなり電子化するとなると、社員からの反発や混乱が懸念だろう。
この点、エイトレッドが提供するワークフローシステムは、入力画面を「紙レイアウト」にすることで、「まるで紙に書くような」感覚で操作できることが特徴だ。
これまで社内で使用していた書類デザインをそのままシステム上で再現することで、現場の社員は今までと同じ感覚で手続きを行うことができるのである。
中小から大企業まで幅広い企業への導入
企業規模に応じてワークフローシステムに求める機能や料金体系は異なる。
この点、エイトレッドはクラウド版を中小企業へ、パッケージ版を大企業へ、その企業規模に適したシステム提供を行っている。企業のニーズに合った最適なシステムを提供することができており、その結果としてワークフロー市場において大きなシェアを占めている。
特に100名未満の企業向けシェアでは58%と圧倒的だ。
高収益で安定的なストック型ビジネスモデル
エイトレッドの売上の64%ほどは、保守やクラウド月額料金のストック売上だ(2020年3月期)。
今まではパッケージ版の「X-point」を導入していたような中小規模の企業が、今後クラウド版の「X-point Cloud」で導入していくことだろうことを考えると、ストック売上の割合が高まる余地はまだある。
業績:増収増益が続き、業績は絶好調!
エイトレッドの業績はご覧のように売上・利益共に増収増益を続けており、好調そのもの。しかも経常利益率は2020年3月期にとうとう40%を超えた。
「X-point」の売上は横ばいで推移しているが、「X-point Cloud」と「Agile Works」は共に高い成長率を維持している。パッケージ版である「X-point」の利用が少なくなり、クラウド版の「X-point Cloud」の利用が進むことで、利益率が高まっていると考えられる。
市場:市場はまだまだ未成熟で成長余地が大きい
日本でのワークフローシステムの市場規模は2019年に90億円程度とされている(引用:週刊BCN)。その中でエイトレッドは大きなシェアを占めている。
だがワークフローシステムの市場規模拡大はむしろこれからだろう。コロナ禍により企業のDXに対する意識は高まり、社内手続きの電子化ニーズは今後さらに増えていくと考えられるからだ。
ちなみに米国でのワークフローシステムの市場規模は1900億円(1ドル=100円換算)であり(引用:Intrado)、日本のワークフロー市場が圧倒的に遅れをとっていることがわかる。
株価:コロナショックからの回復で3倍の株価!
エイトレッドの株価推移だが、コロナショックにより2020年3月時点で1000円を切っていたが、その後半年ほどで3倍にまで伸びている。
上場時からしばらくの間はいまいちなパフォーマンスだったが、コロナ禍での急騰が大きく、日経・TOPIXはアウトパフォームしている。
今後:市場規模の拡大に期待大。まだまだ業績は伸びると予想
さてエイトレッドの今後についてだが、業績拡大の余地はまだ大きいと予想する。
現状ではワークフローシステムの市場は大きくないが、企業のDXに対する意識の高まりは顕著であり、ハンコ・ペーパーレス推進のためのワークフローシステム導入はいっそう進んでいくことは間違いない。
クラウド・パッケージ版の提供により中小〜大企業と幅広く対応が可能であり、日本型の業務プロセスに特化したサービスによる差別化ができているため、競合が多い分野ながら勝ち残っていけると考える。
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