シェア50%のNo.1不動産管理SaaS『プロパティデータバンク』、そのビジネスの強みに迫る!

注目日本企業

今回紹介するのは、不動産管理SaaSを提供する企業『プロパティデータバンク』。

REIT業界の中で圧倒的に高いシェアを占めるその企業の強みに迫りたい。

事業:シェア50%のNo.1不動産管理SaaS「@プロパティ」

プロパティデータバンクは不動産管理SaaS「@プロパティ」の提供を中心とした事業を行っている。

「@プロパティ」は、オフィスビル・住宅・商業施設・物流施設など、あらゆる不動産をクラウド上で管理するサービスだ。

不動産の登記情報・地図情報といった基本的な情報登録はもちろんのこと、賃貸管理・メンテナンス管理・会計管理といった、不動産管理に関連するあらゆる「業務」もクラウド上で行うことが可能だ。

プロパティデータバンク2020年3月期決算資料

このように「@プロパティ」を利用することで、不動産に関する情報が全て一元的に集約され、その不動産の状況をリアルタイムに関係者全員が確認することができるようになる。不動産管理業務はただでさえ様々な人が関わってくるので、正確な情報がスピーディーに共有されることは非常に重要である。

プロパティデータバンク2020年3月期決算資料

不動産管理に特化することで、あらゆる業務をクラウド上で実現する「@プロパティ」の評価は高く、J-REIT業種の中ではなんと50%以上のシェアを占めている。

強み:専門SaaSとしての低コスト・多機能提供、かつカスタマイズによる柔軟性

プロパティデータバンクの強みとしては以下のような点が挙げられる。

  • 不動産管理に専門特化しており、あらゆる不動産のあらゆる業務に対応できる多機能提供
  • 自社で開発・保守を行うよりも圧倒的な低コストで導入が可能
  • 顧客固有のニーズに対してはカスタマイズ開発により柔軟に対応が可能
  • 導入後は月額利用料を企業に請求する、安定的なストック型ビジネスモデル
  • 一部業界においてはNo.1シェアを占めている

プロパティデータバンクは2000年の設立当初から不動産管理に特化しているだけあり、圧倒的に多機能それでいて低コストでシステムを導入できるという点が強みだ。しかも、既存の機能では対応できないニーズがある場合はカスタマイズすることも可能だ。

さらに、すでにREIT・大手ファンドの業界ではNo.1シェアを占めていることも大きな強みだ。日本にあるREIT・大手ファンドの数は153社であり、その中でプロパティデータバンクは57社と契約がある。「@プロパティ」のようなシステムは簡単に切替できる性質のシステムではないため、すでに大きなシェアを1社に占められているとなると、競合が新たに参入するメリットは薄い。市場シェアの確保それ自体が参入障壁になっていることも大きな強みである。

業績:安定的なストック売上にカスタマイズ等のスポット売上を積む

売上は2018年3月期以降は順調に増収を続けている。

売上高推移

増益も続けており、営業利益率は15%以上と高い水準。

営業利益推移

なお、プロパティデータバンクにはサービスの提供方法が以下のように2つある。

  • クラウドサービス:「@プロパティ」の提供・保守メンテナンス。登録建物数に応じた従量課金のストック型売上。
  • ソリューションサービス:「@プロパティ」の初期コンサルティングや設定、オプション販売、カスタマイズ開発等。

安定的なストック売上のクラウドサービスは成長率が緩やかながら着実に積み上がっている。

クラウド・ソリューション売上推移

それ以上にカスタマイズ開発やオプション販売ニーズが高まっているのか、ソリューションサービスの売上割合が高まっているのが特徴的。

クラウド・ソリューション売上割合

売上総利益率は2019・2020年3月期で少し悪化している。

売上総利益率推移

調べてみると外注費の割合が高まり、原価が嵩張っていることが原因だと思われる。外注費はカスタマイズ開発を行う際の費用であり、ソリューションサービスの売上割合の高まりに応じて外注費も増加しているのだろう。

外注費割合の推移

売上高に対する販売管理費率は減少傾向。このままの傾向が今後も進めば、営業利益率は今よりもさらに高くなるだろう。

販売管理費割合の推移

市場:不動産を運用管理する企業すべてがサービス対象

プロパティデータバンクのサービスは「不動産の管理」に特化しており、「不動産会社」のみならず「不動産を何かしら管理しているすべての企業」がそのサービス対象に含まれる。

例えば、以下のような企業がサービス対象だ。

  • 不動産投資ファンド
  • 不動産管理会社
  • 不動産オーナー企業
  • ビルメンテナンス会社
  • 工場など、不動産を事業で利用するメーカー・インフラ企業
  • 国・地方公共団体

すでにREIT・ファンドの業界においてプロパティデータバンクのサービスは高いシェアを誇っており、特にJ-REIT業界ではその市場シェアは50%以上である。

一方でビル管理会社やその他大手事業会社での導入はまだ進んでおらず、今後の市場シェア拡大余地は大きい。

また、クラウドサービスの市場が伸びているのも追い風だ。2020年のパブリッククラウドサービス市場規模の予測は1兆円を超えているが、その後も2024年まで年間の平均成長率は18.6%で推移するとされている。そうなると2024年には2兆円以上の市場になる。

引用:IDC Japan 株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2019年~2024年

株価:2020年には6倍の株価上昇!

2020年にコロナの影響で株価が下落してから反発し、その後6倍まで株価が急騰したのは驚き。

株価推移

日経・TOPIXをアウトパフォーム。

ヤフーファイナンス

今後:新しい市場への導入を進めていけるか

REIT・ファンド業界ではNo.1のシェアを占めていることは今後もプロパティデータバンクの安定的な成長に寄与することは間違いないだろう。

一方で、REIT・ファンドの社数は限られていることを考えると、その他の業界に対する導入をいかに進めていけるかが重要だ。

導入社数を増やしていけば増やすほど、ストック型のビジネスモデルの強みは生きてくるはず。今後に期待したい。

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